複数のモルフの組み合わせによって、より特徴的な表現型になる場合には特別な名称が付けられる事があります。
これを爬虫類の世界ではコンボモルフと呼称します。
しかしコンボモルフ名と呼ばれている名称は、最初の作出者の付けた商品名の場合があります(勿論違う場合もあります)。
他者の商品名を勝手に使う事は本来許されない事ですが、作出者が商標登録をしない事などもあり、多くの人がコンボモルフ名を踏襲して使用しています。ですが後述する様々な理由から、多くの場合はコンボモルフ名を使用せずに構成モルフを順に並べる事が望ましいと考えられます。
注意点
以下の注意事項をよく読み、本稿の表記規則に沿ってないからといって他の方を攻撃しないで下さい。
筆者はヒョウモントカゲモドキを趣味・生業にする方々の中において、本稿の内容を強制するような立場にありません。
本稿は既存の表記規則に加えて筆者が育種学、畜産学、遺伝学、保全遺伝学、動物分類学の書籍を基に独自に分類・定義・再定義した事が含まれます。
但し筆者はヒョウモントカゲモドキを趣味・生業にする方々の中において、本稿の内容を強制するような立場にありません。
また爬虫類の専門書、専門雑誌と比較すると本稿を読んで頂ける方は非常に少数となります。
よって本稿の内容をもって、他の方々を不快にするような行為はお辞めください。
特にショップの方々に、本稿の表記規則と違うなどクレームを入れる事は絶対にお辞め下さい。
ショップの方々は入荷時の表記を変える様な事は基本的に出来ません。
あくまでも1つの参考例と考えて頂き、全てではなくても賛同して頂ける部分を取り入れて頂けたら幸いです。
1. 商品名について
本稿では具体例を出しませんが、現在でも明確に商品名として区別されている、されるべき名称があります。
1.1 区別される特徴と遺伝
敢えて商品名を付けるのですから、前述のような「他と区別出来る特徴」がある筈です。
しかし
- 他と明確に区別出来る特徴の定義
- 商品名を冠する特徴の量・質の基準
この様な情報は公開されていない場合が多いと思われます。
すると作出者以外に基準を満たしているのか判定する事が出来ない事になります。
これらの理由から、本来は他者がこの商品名を使うことは好ましい事ではありません。
そしてエキゾチックアニマルの世界では明確に品種や系統の定義がされていないので、個体の特徴がちゃんと遺伝される事が保証されない場合もあります。
そのため作出者からペアで揃えて繁殖したとしても、特徴が確実に遺伝される保証がない場合があります。
この様な事情がある事からも、その商品名を使う事は望ましく無いと考えられます。
また以下を一つ一つ調べるのは、非常に困難と言えるでしょう。
- コンボモルフ名を付けたのは誰なのか?
- それは商品名なのか?
- それとも誰でも使えるものなのか?
1.2. コンボモルフ名を使用しない表記
RAPTORやDiablo blancoなども本来は商品名にあたります。
ですがあまりにも有名になった名称(RAPTORなど)については無理に使用を辞めると、無用な混乱が生まれると推測されます。
これらについてはこのまま利用するしかないのが現状と思われます。
RAPTORの作出者であるトレンパー氏は、他者がRAPTORという名称を使う事に対して批判していたそうです。
且つ、 現在トレンパー氏の解説本ではエクリプストレンパーアルビノをa.k.a RAPOTRとして扱っているそうです(注: 筆者は解説本を確認していません)。
よってRAPTORなども構成モルフを分解して表記するのがより良い方法かもしれません。
ですがその他のコンボモルフ名については、前述の様に構成モルフを順に並べるのが妥当と考えます。
特にエニグマ由来のコンボモルフは独特な名称が付けられる事が多く、構成されるモルフが想像すら出来ない事が殆どです。
この様な多くのコンボモルフ名は非常に独創的で、その名称に惹かれる事には非常に共感できます。
ですが、繰り返しになりますが
- 商品名なのか、それとも誰でも使える一般名称なのか調べる事が困難である
- 商品名の場合
- 他者の商品名を勝手に使うのは本来褒められた事ではない
- 商品名になるだけの、他と区別出来る特徴が何なのか公開されていない場合がある
- 特徴の基準が不確かな場合がある
- 特徴が遺伝される事が保証されていない場合がある
これらの事を考えるとやはりコンボモルフ名の使用はなるべく控え、例えばダルメシアン(Dalmatian)であれば以下のように表記するのが妥当と思われます。
モルフ: スーパーマックスノーエニグマ
Morph: Super Mack Snow Enigma
1.3 別名/a.k.a
ここまではあくまで理想論なのですが、他の方々が魅力的なコンボモルフ名を使っているのに一人だけ構成モルフ名を並べただけの表記にするのは非常に勇気のいる行為だと思います。
正直な所、コンボモルフ名というのは多くの愛好家の収集癖を刺激し、売上にも多大なる影響を与えている要素の一つだと考えられます。
全く売上に影響を与えないのであれば、様々な種でこれほどまでにコンボモルフ名が普及する事は無かったでしょう。
また、「ブリーダーなのにコンボモルフ名も知らないのか」と誹謗中傷を受ける可能性すらあります。
これらデメリットを無視して「正しいのだから」というだけで、多くの方にコンボモルフ名の使用を辞めるように強制するのはあまりにも非現実的と考えます。
ここでいう非現実的とは主張する事ではなく、主張が受け入れられる事に対してです。
であればまずは、a.k.a(also known as/別名)としてコンボモルフ名を表記する事を考えるのは良い手かもしれません。
例1.
Morph: Enigma RAPTOR
例2.Morph: Enigma RAPTOR(a.k.a Nova)
例3.モルフ: エニグマラプター(a.k.a ノヴァ)
但しあくまでも「他人の商品名を使わない」というのが意図になりますので、コンボモルフ名が商品名ではない事等を確認された場合は問題ないといえます。
あくまでも「意図せず他者の商品名を使わない」為のリスク回避になります。