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亜種とは何か

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亜種(subspecies)とは何であるのか。亜種を設ける事を言及している国際動物命名規約には、その事について何も書かれていないとの事です。
何を亜種とするかは分類学者の判断に任されている事になります。

亜種とは古くから使われてきた階級ですが、何を亜種とするかについては不変だった訳ではありません。
しかし以前の、その他の種内階級に比べれば遥かに良いコンセンサスが得られていた様です。

個体群集団

現代の多くの分類学者が亜種の階級にあるとしているのは個体群集団です。
ただし個体群集団であれば何でもよいのではなく、亜種名を付けるのはある条件を備えた個体群集団に限られます。

地理的品種以外の地理的変異パターン

その条件とは地理的変異パターンです。
以下のグラフは縦軸が地理的な特徴、例えば鱗の数や斑紋の数や体長.横軸が標本採集地の距離としています(左が西で右が東のように考えて貰えれば良いです)。


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グラフA

グラフAでは個体群は連続して特定のパタンは見られず、種の下部構造として取り出せる要素は存在しない。従って分類学はそこに何も見出し得ない。

グラフB

グラフBでも形質の不連続で表される個体群集団は識別出来ず、種の下部構造は見出し得ない。連続した形質の変異は分類学の対象とはならない。

グラフC,D

グラフC,Dは地理的変異パターンを示す個体群の集団である。これらは地理的に連続する個体群が、形質の不連続によっていくつかの個体群集団に分かれる場合で、このような個体群集合体は地理的変異種(geographical races)と呼ばれる。

そして分類学はこの地理的品種に亜種としての「学名」をつけることを認める。

地理的品種を亜種とする理由

実は地理的品種を亜種とする論理的な理由はあまりはっきりとしない。強いてあげれば

  • 種内階層の中でいちばん上位にある
  • 種の直下の位置する構造である
  • 種に準じて時間的にかなり安定性がある
  • 形質と分布域によって容易に識別できる平面的広がりがある

などが考えられる。

別種の可能性

このように種を区別刷る場合、分類学者は形質の不連続を用いる。ところが形質の不連続性は生殖隔離とは無関係に生じ得る。

生殖隔離機構は生物の集団に内在する特性であり、それは2つの個体が出会って初めてその存在が検出されるものである。形質が連続していない異所性個体群間に生殖隔離があるかどうかは、それらが一つになる事態が生じた時点で初めて判断できる。

この事については種と亜種の違いで詳しく述べているが、ある個体群を種にするのか亜種にするかは分類学者の経験に依る様です。