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ボールパイソンの主な優性遺伝モルフ

編集履歴

優性遺伝は遺伝子座に該当遺伝子が一つでもあれば(ヘテロ接合)、形質が表現されます。ただし遺伝子が2つ揃っていても(ホモ接合)、形質の表現に差はありません。

デザート/Desrt Ball

特徴
作出者 不明
発見年 不明
モルフ分類 カラーモルフ
モルフ特徴
a.k.a

デザート(Desert Ball)は模様の色に影響を与えるカラーモルフです。

  • 基調色: 黒色にくすみの少ない明黄色が入る
  • 模様: 背面の太い破線模様と連なるような鞍掛状で、黒色のスポットなどはあまり入らない

名前の似ているデザートゴーストに色彩も似ているが、本モルフの方が模様の色調が黄色い事で識別可能とされている。
デザートのメスは有精卵を産まず、繁殖に問題があるとされている。

キャリコ/Calico


特徴
作出者 NERD
発見年 2002
モルフ分類 カラーモルフ
モルフ特徴
a.k.a

キャリコ(Calico)は模様の中が部分的に白色となるカラーモルフです。
部分的な白化(リューシスティック)はパイボールドと共通ですが、キャリコは模様の中だけが白化するという点で異なります。

どのように白化するかは個体差や系統による違いがあり、鱗が数枚程度白化するだけのものから、模様の殆どが白くなるものまである。
シュガーバブルガムと呼称される系統では、模様の中が広く白化する。

スパイダー/Spider

特徴
作出者 NERD
発見年 1999
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴 スターゲイジング(仰ぎ見行動)という神経障害がある
a.k.a

スパイダー(Spider)は模様の面積が広がり、緑色を帯びた名褐色の大柄な鞍掛模様が全身を覆うパターンモルフです。
模様の下方はキャリコのように白色となります。
模様と模様の間を縦横に走る基調色部の黒くて細いラインが蜘蛛の巣のように見える事がモルフ名の由来です。

神経障害について

この項では神経障害を理由にスパイダーを否定するものではありません.
より正確な情報を多くの人が閲覧出来、飼養するか判断する為にあります。

スパイダーには神経障害が出るとされており、海外ではwobble(ぐらつき)という症状名で認知されているようです。
現在はスパイダーから神経障害の遺伝子を特定・除去されてはおらず、またそれは不可能だと考えられています。
よって全てのスパイダーが程度の差はあれ障害が出る可能性があります。

Do all spiders have the wobble?

Yes, but not to the same extent. The syndrome is completely associated with their patterns and entirely unable to be removed from the gene. If it were a genetic predisposition, it would have easily been bred out by now. Breeders will often claim they have snakes with no wobble, but as we have learned it is impossible. While wobble severity certainly varies from individual to individual, one cannot predict whether the wobble will worsen or improve over time. Additionally, even if you bred a spider with little visible wobble, it can still produce young with an extreme wobble. It’s an unpredictable process because every snake develops differently.

全てのスパイダーはWobble(以下ぐらつき)を持っていますか?

はい、程度は同じありませんがぐらつきを持っています。
神経障害の症候群は完全にスパイダーの特徴に関連しており、遺伝子から完全に除去することはできません。
それが別の遺伝的素因であれば、今に至るまでに容易に除去出来ていたであろう。
ブリーダーはしばしばぐらつきのないボールパイソンを持っていると主張しますが(注釈:個体からぐらつき遺伝子を除去したラインを所有しているという意味)、我々はそれが不可能であると学んでいる。
ぐらつきの障害の重さは確かに個体ごとに異なるが、時間の経過とともにぐらつきが悪化するか改善するかを予測することはできない。
更に、ぐらつきが目立たないスパイダーを交配しても、重度のぐらつきのある個体を生み出すことがあります。
これはすべてのボールパイソンが別々に発達するので、予測不可能なプロセスです。

出典: The Spider Ball Python and the Wobble - Monochrome Menagerie

神経障害とどう向き合うか

神経障害がでるモルフについてはボールパイソンに問わず、多くの愛玩動物で議論になる問題です。
上記の項ではスパイダーの繁殖に否定的な文脈の一部ですので、スパイダーを否定するような文章ですが勿論肯定的な意見もあります。

見て楽しめる爬虫類・両生類フォトガイドシリーズ ボールパイソンには以下のように書かれています。

本モルフにはスターゲイジング(仰ぎ見行動)を伴う特有の神経障害が知られているものの、成長に伴い症状が軽微になり、いっさい見られなくなる個体も多い。
最近では幼体のうちからほとんど症状を示さない個体も増えている。
症状が見られる個体でも、飼育や繁殖に際しては全く問題ないので、個体の個性だと考えて貰えばいいのではなないだろうか。

川添宣広 - 2014 - 見て楽しめる爬虫類・両生類フォトガイドシリーズ ボールパイソン - P.114 - スパイダー

またPERFECT BALL PYTHONには以下のように書かれています。

一時首振りの神経症状が取りだたされて、ボールパイソン初心者のスパイダー離れが深刻だったが、それ以上の魅力があり、どのモルフとも抜群の相性がよく
...(中略)...
スパイダーの血が入っていない個体との掛け合わせにより神経障害のない個体を生み出せるので重く考えない方が良いだろう。

宮内大輔 - 2012 - PERFECT BALL PYTHON - P.179 - スパイダー

このように色々な意見がありますので、スパイダーそのものを否定する訳ではなく全てのスパイダーが神経障害が発祥する可能性がある事を認識した上で飼養するか繁殖するか判断する事が重要だと思われます。

注: 恐らく上記のスパイダーの血が入っていない個体との~は古い情報で、神経障害がスパイダー遺伝子とは別に近親交配によって発祥されたのでは?と考えられていた頃の情報です。
現在では前述のように全てのスパイダー(とスパイダーの入っているデザイナーモルフ)が神経障害が発症する可能性があると考えられています。

ですがもし神経障害について目にしたことが無い場合は購入する前に、実際に一度障害が出た場合の個体を見たほうが良いと思われます。
そのような個体を見る機会が無い場合は、動画を一度ご覧になってからが良いと思われます。


ウォマ/Woma

特徴
作出者 NERD
発見年 不明
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

ウォマ(Woma)は模様の形状に影響を与えるパターンモルフです。
大柄な鞍掛模様が全体に入り、この模様にスポットが入ることは殆どありません。
頭部には明るく抜けた色がパッチ状に入ります。

模様の入り方はスパイダーに似ていますが、模様の色が明るい黄色である事から判別可能です。

ピンストライプ/Pinstripe

特徴
作出者 BHB Enterprises
発見年 2001年
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

ピンストライプ(Pinstripe)は体側と背の両方の模様に大きな影響を与えるパターンモルフです。
ピンストライプの名前は背面のストライプを縁取る二本の黒いラインです。

レオパード/Leopard

特徴
作出者 Peter Kahl Reptiles
発見年 不明
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

レオパード(Leopard)はパイボールから発見されたパターンモルフです。
レオパードは豹を意味しており、この名前の通り黒色いスポットのある明褐色の模様が豹柄のように見えます。

グラナイト/Granite

特徴
作出者 Karsten
発見年 不明
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

グラナイト(Granite)は模様の中に黒い小さなスポットが細かく散らばるパターンモルフです。
グラナイトにはSnakeguy Lineと呼ばれるKarsten Kamke氏が作出者の顕性(優性)遺伝、作出者不明の顕性(優性)遺伝、Ralph Davis Reptilesが作出した共顕性(共優性)遺伝のグラナイトなど複数存在します。

ジェネティックブラックバック/Genetic Black Back

特徴
作出者 不明
発見年 不明
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

ジェネティックブラックバック(Genetic Black Back)は背面の模様に関するパターンモルフです。
体側の模様は体側上方までせり上がるが、背面にはほとんどたっしないため黒いストライプが走っている様に見える。

ジェネティックバンデッド/Genetic Banded

特徴
作出者 不明
発見年 不明
モルフ分類 パターンモルフ
モルフ特徴
a.k.a

ジェネティックバンデッド(Genetic Banded)は大柄な鞍掛模様が全身に入るパターンモルフです。
この模様によってバンド状に見えるため、バンデッドの名前となっています。

参考文献


ボールパイソン (見て楽しめる爬虫類・両生類フォトガイドシリーズ)



ビバリウムガイド NO.64 2014年 02月号



The Complete Ball Python: A Comprehensive Guide to Care Breeding and Genetic Mutations



The Ultimate Ball Python: Morph Maker Guide